Classici giapponesi con furigana
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ズラかったしんきち
ズラかった信吉
宮本 百合子
Leggi ズラかった信吉 (ズラかったしんきち) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.656 caratteri · 110 schermate
ルバーシカを着て鳥打帽かぶった若い男が本を抱えて歩いて行く。すると、こっちから、空罐のデカイのを頭へのっけて、外套へあっちこっちに手を通した髯の長い奴が、チョコチョコ小刻みにやって来た。
鳥打帽は、それを見るといそいで寝台のかげへかくれた。やりすごしといて、いきなり後から組つき、はりとばした。頭から空罐がスッ飛んでがんがららん。えらい騒ぎだ。ぶっこかされながら外套へあっちこっちに手を通した奴が、大きな声で何か云った。ワーッ。見物が笑う。
鳥打帽はとうとうとりかえっこに、自分が空罐かぶって、髯長に本をもたせて、鳥打帽をかぶせちまった。そして素早くまたかくれた。
今は鳥打をかぶらされ、ルバーシカだけになった髯長がヨタヨタ行きかけようとすると、またまた忍びよった者がある。棒をもってる。ルバーシカの胸にビールの口金をとって勲章につけている。
こん畜生!
というような掛声もろとも、これは手荒い。さんざん棒でひっぱたいて、クタリとなった奴をひっかついで、勲章を撫で撫で引こんだ。かくれていた元の鳥打が、姿を現す。
何とかかんとか、ウラーッ!
ウラーアッ! バラックを揺がす大喝采だ。