Classici giapponesi con furigana
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ゼラールちゅうい
ゼラール中尉
菊池 寛
Leggi ゼラール中尉 (ゼラールちゅうい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7909 caratteri · 16 schermate
は堪えなかったのである。
「産額などはむろん問題じゃないよ。が、あのボルドーの上等! むろん一九〇〇年代の醸造じゃだめだよ。少なくとも、一八八〇年から七〇年酒の味(大尉は、実際その味を本当に味わったことのある人だけがもらすような微笑をもらしながら)といったらまた別だよ。とてもこんな葡萄酒の味とは……」といいながら、少しの軽蔑を交えてそのベルギー産の葡萄酒の壜を打ち振った。すると、ゼラール中尉は、横顔を殴られたように、恐ろしく興奮してしまった。
「そういうことをいう君は、葡萄酒の真の理解者ではないね。この葡萄酒は穴蔵の中に千年しまい込んであったボルドーにだって負けることではないよ。いったいベルギーの地質がだね……」といいながら、彼は白仏の地質比較論から、葡萄の栽培の適不適に及んで、地質の上からいっても、栽培法からいっても、醸造法からいっても、ベルギーの葡萄酒が上等だと主張した。その癖、ゼラール中尉は、自分がボルドーの上等を飲んだことがないことに気がついていなかった。大尉は少々ばからしくなった。世界の何人にも認められている事実を、自分の意地から反駁している相手のばかばかしさを、憎むよりもむしろ憫む方が多くなった。