Classici giapponesi con furigana
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ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ
夢野 久作
Leggi ドグラ・マグラ di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 424.847 caratteri · 824 schermate
……すこしばかり身体をゆるぎ起して、桃色に充血した眼を力なく見開いた。灰色の唇をふるわして返事をすべく振り返ったが、その声は、痰に絡まれたようになって二三度上ったり下ったりしたまま、咽喉の奥の方へ落ち込んで行った。……と思ううちに見る見る椅子の中に跼まり込んで死人のようにグッタリと首を垂れてしまった。
コツコツコツ……コトコトコトコト……コツンコツンコツンコツン……。
私はこの時、自分で返事をしたような気がしない。何だか鳥ともつかず、獣ともつかぬ奇妙な声が、どこからか飛び出して、室中に響き渡ったように思った。それと同時に頭の毛が一本一本にザワザワと走り出したように感じたが、そのザワザワが消えないうちに、入口の扉が半分ばかり開かれると、ガタガタと動く真鍮のノッブの横合いから、赤茶色のマン丸いものがテカテカと光って現われた。それは最前カステラを持って来た老小使の禿頭であった。
「……ヘイヘイ……御免なさいまっせい。お茶が冷えましつろう。遅うなりまして……ヘイヘイ……ヘイ……」
と云い云いまだ湯気を吹いている新らしい土瓶を大卓子の上に置いた。そうして只さえ弓なりに曲った腰を一層低くして、白く霞んだ眼をショボショボとしばたたきながら、皺だらけの首をさし伸べて恐る恐る正木博士の顔を覗き込んだ。