Classici giapponesi con furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Leggi パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 78.920 caratteri · 153 schermate
十五
十五
菰田源三郎になりすました前の人見廣介と、その妻であって妻でない千代子との、世にも不思議な密月の旅は、何という運命の悪戯でしょう、こうして、廣介の作り出した彼の所謂夢の国地上の楽園をさまようことでありました。
二人は、一方に於いて、限りなき愛着を感じ合いながら、一方に於いては、廣介は千代子をなきものにしようと企らみ、千代子は廣介に対して恐るべき疑惑を抱き、お互にお互の気持を探り合って、でも、そうしていることが、決して彼等に敵意を起させないで、不思議と甘く懐しい感じを誘うのでした。
廣介はともすれば、一旦決した殺意を思止って、千代子との、この異様なる恋に、身も心もゆだねようかとさえ、思い惑うことがありました。
「千代、淋しくはないかい。こうして私と二人っ切りで、海の底を歩いているのが。……お前は怖くはないのかい」
彼はふとそんなことを云って見ました。
「イイエ、ちっとも怖くはありませんわ。それは、あのガラスの向うに見えている、海の底の景色は、随分不気味ですけれど、あなたが側にいて下さると思うと、あたし、怖くなんか、ちっともありませんわ」
彼女は、幾分あまえ気味に、彼の身近くより添って、こんな風に答えました。