Classici giapponesi con furigana
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ヒルミふじんのれいぞうかばん
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
海野 十三
Leggi ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (ヒルミふじんのれいぞうかばん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.412 caratteri · 29 schermate
「――素晴らしい着想だわ」
夫人は床をコンと蹴ると、発条仕掛の人形のように、石油箱から飛びあがった。そして傍に脱ぎすててあった手術着をとりあげると、重い扉を押して、広い廊下を夫万吉郎の部屋の方へスタスタと歩いていった。
いつも空腹なヒルミ夫人の冷蔵鞄が、腹一杯にふくれたのは、それから二時間とたたない後のことだった。
その冷蔵鞄というのは、いつもヒルミ夫人の特別研究室に置いてあったものだった。それは最新式の携帯用冷蔵庫であった。夫人は時折、この鞄のなかに、動物試験につかった犬や兎の解剖屍体を入れて外を下げてあるいたものである。
しかし今日という今日は、犬や兎の屍体はすっかり取り出されて、汚物入れのなかに移されてしまった。ひとまず鞄のなかは、綺麗に洗い清められ、そしてそのあとにバラバラの人間の手や足や胴や、そして首までもが、鞄のなかにギュウギュウ詰めこまれた。その寸断された人体こそは誰あろう、他ならぬヒルミ夫人の生命をかけた愛すべき夫、万吉郎の身体であったのである。
ヒルミ夫人は、夫万吉郎の身体を、生ながら寸断して、この冷蔵鞄のなかに入れてしまったのである。