Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ラしのふえ
ラ氏の笛
松永 延造
Leggi ラ氏の笛 (ラしのふえ) di 松永 延造 (まつながえんぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8706 caratteri · 18 schermate
最早、医師の誰もが、ラ氏のこんな行為を制止しようとは試みなかった。何故なら此処は施療部である。若し施療室というものに頭脳があるなら、それはきっと斯ういう苛酷な思想を持ったに相違あるまい――
「地上に於いて、実用に適さぬ生命は早く天へ送られる方が好いのである。」
私は恐怖の眼で友人ラオチャンドを見やった。痩せる丈痩せて、昔日の面影もない彼れはベッドに坐して、体を前後にゆすっていた。彼れの眼尻には血の飛沫が一点、アミーバの拡大図のような形ちで付着していた。板の間の上へ置かれた、古い洗面器には、彼れの吐いた血が鎮まり返って溜っていた。
と、其処へ、何を慌ててか、一人の助手が肘を縮めながら、駆け込んで来た。彼れはいきなり板の間の洗面器へ、粗忽な足の先を突きあてた。血は丁度嘗て人間の体内に居た時の如く、波打った。丸い波紋が次々と表れるのを、ラ氏は侮辱されたような顔付きで眺め入ったが、軈て、
「私の血が再び動き出した……」と、悲しそうに私の方を振り向いて呟いた。
「それより、静かに臥さねば……」と、私も亦落ちつかぬ心で彼れへ言った。
「私の国では、寝た儘で祈るという風習はない。