Classici giapponesi con furigana
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レモンのはなのさくおかへ
レモンの花の咲く丘へ
国枝 史郎
Leggi レモンの花の咲く丘へ (レモンのはなのさくおかへ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.016 caratteri · 142 schermate
近頃は大変にソワソワなされます。まるで十七、八の若者が初恋を知った時のように。
領主 (苦笑)それが気まずいと申すのか。
従者 そればかりではござりませぬ。近頃は何彼と疑い深くなられました。これもあの女子のためでござりましょう。
領主 あの女子、あの女子とよく云うが、彼女は決して悪い女ではない。ほんの無邪気な性質で、例えて云って見れば、空を自由にかけたがる白い雲のようなものだ。(少し考え)もっとも、あまり空をかけたがるので、心もち、フワフワとしてはいるが、それが決して、あの女子の美しい容貌と正直の心とを傷つけはしない。
従者 よく存じておりまする。
領主 それではもうよいではないか(とまた窓に向かわんとするを従者は再び引きとめ)、
従者 たとえ、女子の性質はよいと致しましても、お殿様の御性質お振る舞いを近頃のように変えさせますれば、何のためにもなりませぬ。却って悪い性質の女子でも、お殿様の性質を変えぬならば、その女子の方が御身の為また私共の為かと存じます。……一体、あの女子は、どこからお連れなされました。
領主 海の彼方の淋しい浜辺から、(と窓を離れて丸テーブルの傍の寝台の上に腰をおろす)、海の彼方の淋しい浜辺で、消えて行く帆舟の影を泣きながら見送っていた――あの女子が見送っていた。