Classici giapponesi con furigana
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いちのくらさわ
一の倉沢
久生 十蘭
Leggi 一の倉沢 (いちのくらさわ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6237 caratteri · 13 schermate
汽車の中で眠れるといいが、さもないと不眠のままで奔走しなくてはならない。そのうえ、パアトナーの救援隊より遅れたりすると、掛引きではなく、なんとしてもぐあいが悪い。十四時三十分の長岡行で発つと、土合の山の家で活動前の休養がとれるばかりでなく、積極性をしめすことにもなる。
会社の近くの喫茶店で家へ呼出し電話をかけると、いいぐあいに長女の初枝が電話にでた。
「会社へ電話をかけちゃ、いけないんだそうだけど、こんな際だから、いま電話しようと思っていたところなの。すぐお帰りになります?」
「家へ帰っていられない。十四時三十分で発つと、向うへ着いてから都合がいいから……リュックをこしらえて駅まで持ってきてくれ」
「リュックは大きいほうですか」
「サブ・ザックでいい……それから、ママにみつからないように、靴と双眼鏡を持ちだしてくれないか」
「パパ、山をなさるの」
「とても、そんなわけにはいかない。安一郎のパアトナーのほうは救援隊をだすのだろうが、おれにしたって、せめて雪渓ぐらいまであがらないと、義理が悪いからね」
「初枝、いっしょに行っちゃいけないかしら……ママったら、兄さんが死んだことにきめて、お線香をあげて泣いているの。