Classici giapponesi con furigana
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ひとつぼかん
一坪館
海野 十三
Leggi 一坪館 (ひとつぼかん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.902 caratteri · 56 schermate
すると相手は、あから顔の、短い白毛頭の、六十歳あまりの老人だと分った。人の好さそうな小さい目、実行力のある大きな唇、源一は、この人の前に、ざっくばらんに事情をぶちまけた。
「はははは、それはむずかしい相談だ」老人は頭を左右へ大きくふった。
「だがね、理屈に合ったことをやるのが一番だよ、つまりでたらめのことはやらないがいいってことだ。おれの着ているこのさしこの頭巾や、はっぴを見なよ。これは昔の人が工夫してこしらえたもので、これを水にずぶりとぬらせば、どんな焔の中へとびこんでも大丈夫なんだ。そういう工合に理屈のあるものは、今でもすたらないんだ。だからよ、坊やも考えて、これは理屈に合うなと思ったら、それをどんどん実行にうつすんだ。おれなら何を売るかな。そうだ、花を売っちゃどうだい」
「花? 花ですか、あのきれいな花を?」
「そうだ、その花だ。切花でもいい。鉢植えでもいい。これは理窟に合っているぜ」
「へえッ、どこが理窟に合っています」
「だってそうじゃないか、このとおりの焼野原だ。殺風景この上なしだ。これをながめるおれたち市民の心も焼土のようにざらざらしている。そこへ花を売ってみねえ。