Classici giapponesi con furigana
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ぼくのぼうしのおはなし
一房の葡萄 他四篇
有島 武郎
Leggi 一房の葡萄 他四篇 (ぼくのぼうしのおはなし) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.712 caratteri · 39 schermate
そうしたら、二人ばかりではなく、本棚までも箪笥まで空気と同じように触ることが出来ません。それを知ってか知らないでか、二人は前の通り一生懸命に、泣きながら、しきりと僕の名を呼んで僕を探していらっしゃいます。僕も声を立てました。だんだん大きく声を立てました。
「おとうさん、おかあさん、僕ここにいるんですよ。おとうさん、おかあさん」
けれども駄目でした。おとうさんもおかあさんも、僕のそこにいることは少しも気付かないで、夢中になって僕のいもしない所を探していらっしゃるんです。僕は情けなくなって本当においおい声を出して泣いてやろうかと思う位でした。
そうしたら、僕の心にえらい智慧が湧いて来ました。あの狸帽子が天の所でいたずらをしているので、おとうさんやおかあさんは僕のいるのがお分かりにならないんだ。そうだ、あの帽子に化けている狸おやじを征伐するより外はない。そう思いました。で、僕は空中にぶら下がっている帽子を眼がけて飛びついて、それをいじめて白状させてやろうと思いました。僕は高飛びの身構えをしました。
「レデー・オン・ゼ・マーク……ゲッセット……ゴー」
力一杯跳ね上がったと思うと、僕の体はどこまでもどこまでも上の方へと登って行きます。