Classici giapponesi con furigana
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ぼくのぼうしのおはなし
一房の葡萄 他四篇
有島 武郎
Leggi 一房の葡萄 他四篇 (ぼくのぼうしのおはなし) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.712 caratteri · 39 schermate
それにしても友達のMは何所に行ってしまったのだろうと思って、私は若者のそばに立ちながらあたりを見廻すと、遥かな砂山の所をお婆様を助けながら駈け下りて来るのでした。妹は早くもそれを見付けてそっちに行こうとしているのだとわかりました。
それで私は少し安心して、若者の肩に手をかけて何かいおうとすると、若者はうるさそうに私の手を払いのけて、水の寄せたり引いたりする所に坐りこんだまま、いやな顔をして胸のあたりを撫でまわしています。私は何んだか言葉をかけるのさえためらわれて黙ったまま突立っていました。
「まああなたがこの子を助けて下さいましたんですね。お礼の申しようも御座んせん」
すぐそばで気息せき切ってしみじみといわれるお婆様の声を私は聞きました。妹は頭からずぶ濡れになったままで泣きじゃくりをしながらお婆様にぴったり抱かれていました。
私たち三人は濡れたままで、衣物やタオルを小脇に抱えてお婆様と一緒に家の方に帰りました。若者はようやく立上って体を拭いて行ってしまおうとするのをお婆様がたって頼んだので、黙ったまま私たちのあとから跟いて来ました。
家に着くともう妹のために床がとってありました。