Classici giapponesi con furigana
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ひとあしおさきに
一足お先に
夢野 久作
Leggi 一足お先に (ひとあしおさきに) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.200 caratteri · 79 schermate
気色の悪い話ですが、よくそれで眼を覚まさせられますので……とうとうたまらなくなって、夜中に起き上って、御苦労様に義足をはめ込んで、そこいらと思う処へ湯タンポを入れたりしてやると、綺麗に治ってしまいましてね。いつの間にか眠ってしまうんです。ハハハハ。馬鹿馬鹿しいたって、これぐらい馬鹿馬鹿しい話はありませんがね」
「ハア……つまり二重の錯覚ですね。神経の切り口の痛みが、脊髄に反射されて、無い処の痛みのように錯覚されたのを、もう一度錯覚して、義足の痛みのように感ずるんですね」
私はこんな理窟を云って気持ちのわるさを転換しようとした。青木の話につれて、タッタ今見た自分の足の幻影が、又も眼の前の灰色の壁の中から、クネクネと躍り出して来そうな気がして来たので……しかし青木は、そんな私の気持ちにはお構いなしに話をつづけた。
「ヘヘエ。成る程。そんな理窟のもんですかねえ。私も多分そんな事だろうと思っているにはいるんですが……ですから一緒に寝ている嬶がトテモ義足を怖がり始めましてね。どうぞ後生だから、枕元の壁に立てかけて寝る事だけは止してくれ……気味がわるくて寝られないからと云いますので、それから後は、冬になると寝台の下に別に床を取って、その中にこの義足を寝かして、湯タンポを入れて寝る事にしたんですが……ハハハハハ。