Classici giapponesi con furigana
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ひとあしおさきに
一足お先に
夢野 久作
Leggi 一足お先に (ひとあしおさきに) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.200 caratteri · 79 schermate
まるで赤ん坊を寝かしたような恰好で、その方がヨッポド気味が悪いんですが、嬶はその方が安心らしく、よく眠るようになりましたよ。ハッハッハッ……でもヒョット支那人の泥棒か何かが這入りやがって……あっちでは泥棒といったら大抵チャンチャンなんで、それも旧の師走頃が一番多いんですが、そんな奴がコイツを見付けたら、胆っ玉をデングリ返すだろうと思いましてね。アッハッハッハッ」
私も仕方なしに青木の笑い声に釣られて、
「アハ……アハ……アハ……」
と力なく笑い出した。けれども、それに連れて、ヒドイ神経衰弱式の憂鬱が、眼の前に薄暗く蔽いかぶさって来るのを、ドウする事も出来なかった。
……コツコツ……コツコツコツ……
とノックする音……。
「オ――イ」
と青木が大きな声で返事をすると同時に、足の先の処の扉が開いて、看護婦の白い服がバサバサと音を立てて這入って来た。それはシャクレた顔を女給みたいに塗りこくった女で、この病院の中でも一番生意気な看護婦であったが、手に持って来た大きな体温器をチョットひねくると、イキナリ私の鼻の先に突き付けた。外科病院の看護婦は、荒療治を見つけているせいか、どこでもイケゾンザイで生意気だそうで、この病院でも、コンナ無作法な仕打ちは珍らしくないのであった。