Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひとあしおさきに

一足お先に

夢野 久作

Leggi 一足お先に (ひとあしおさきに) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.200 caratteri · 79 schermate

Aozora Bunko

ウ――ム」

「アラ。唸っているわよこの人は……イヤアね。ホホホホホホ」

「唸りゃしないよ。感心しているんだ」

「だって手術を見もしないのにサア……」

「一体幾歳なんだえその人は……」

「オホホホホホ。もう四十四五でしょうよ。だけどウッカリすると二十代ぐらいに見えそうよ。指の先までお化粧をしているから……」

「ヘエ――ッ。指の先まで……贅沢だな」

「贅沢じゃないわよ。上流の人はみんなそうよ。おまけに男妾だの、若い燕だのがワンサ取り巻いているんですもの……」

「呆れたもんだナ。そんなのを連れて入院したんかい」

「……まさか……。そんな事が出来るもんですか。現在附き添っているのは年老った女中頭が一人と、赤十字から来た看護婦が二人と、都合四人キリよ」

「でもお見舞人で一パイだろう」

「イイエ。玄関に書生さんが二人、今朝早くから頑張っていて、専務取締とかいう頭の禿た紳士のほかは、みんな玄関払いにしているから、病室の中は静かなもんよ。それでも自動車が後から後から押しかけて来て、立派な紳士が入れ代り立ち代り、名刺を置いては帰って行くの」

「フ――ン、豪気なもんだナ。ソ――ッと病室を覗くわけには行かないかナ」