Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひとあしおさきに

一足お先に

夢野 久作

Leggi 一足お先に (ひとあしおさきに) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.200 caratteri · 79 schermate

Aozora Bunko

「……………」

「……ちょうど院長さんは御病気だし、副院長さんは昨夜から、稲毛の結核患者の処へ往診に行って、夜通し介抱していなすった留守中の事なので、大変な騒ぎだったんですってさあ。犯人はまだ捕まらないけど、歌原の奥さんを怨んでいる男の人は随分多いから、キットその中の誰かがした事に違い無いって書いてあるのよ。妾その号外を見てビックリして飛んで来たの……」

妹の声が次第に怖えた調子に変って来た。

するとその向うからモウ一つ大きな、濁った声が重なり合って来た。

「アハハハハハハ。新東さん。今帰りましたよ。あっしも号外を見て飛んで帰ったんです。ヒョットしたら貴方じゃあるめえかと思ってね、アハハハハハ。イヤもう表の方は大変な騒ぎです。そうしたら丁度玄関の処でお妹さんと御一緒になりましてね……ヘヘヘヘ……これはお土産ですよ。約束の紅梅焼です。お眼ざましにお二人でお上んなさい」

「……アラマア……どうも済みません。お兄さまってば、お兄さまってば、お礼を仰有いよ。こんなに沢山いいものを……まだ寝ぼけていらっしゃるの……」

「アハハハハ……ハ。又足の夢でも御覧になったんでしょう……」