Classici giapponesi con furigana
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ななかいのじゅうにん
七階の住人
宮本 百合子
Leggi 七階の住人 (ななかいのじゅうにん) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7128 caratteri · 15 schermate
「どうしたのよ? 一体」
と頻りに柱の釦(ボタン)を押しつけた。
「私、気が遠くなっちゃうわ、おなかがぺこぺこで……」
「おおお、可愛そうに!」
仲間の一人が、真面目な顰面をし、緑色のジャムパアの衣嚢(ポケット)から何か出してやった。
「さ、これでもしゃぶっておとなになさい、美味しいことよ」
誰もがおなかをすかしているので、思わず本気で抓(つま)み出された物を見た。が、一時に足踏をして笑い出した。
「こりゃあ素敵! さ、おしゃぶりなさい。だけど少し塩がききすぎてるに違いないわね、どうも――ハッハッハッ」
手あかだらけの丸い消ゴムをやったり、とったり、騒ぎのところへ、すーっと昇降機が来た。来たが、満員で、隅っこにやっとハンドルを動している若者が、赧い顔をして何か断りらしいことを網戸越しに云った。廊下と昇降機の中とで友達同志が手を振り合う。殆ど止らず昇降機は上った。
「ひどい! もうこうなりゃ覚悟するわ」
金髪の娘が、大袈裟な身ぶりで、裏階子(はしご)を一段おきに駈け登りはじめた。伸子は、朝この階子を歩いて食堂迄登った。そして、よく時間過て閉め出しをくわされ、寄宿舎の向い側の喫茶店で焼林檎をたべた。