Classici giapponesi con furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Leggi 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.637 caratteri · 224 schermate
透き写しにすることになったのです。お近さんは手筋が好い、その器用と熱心とで根気よく丹念に一枚ずつ写して行って、幾日かゝったのか知りませんが、兎も角もその年の暮までに梅暦四編十二冊、しかも口絵から插絵まで残らず綺麗に写しあげてしまったそうです。今のお近さんの宝というのは、御奉公に出るときにお父さんから譲られた二字国俊――おそらく真物ではあるまいと思われますが――の短刀と、「春色梅ごよみ」十二冊の写本とで、この二つは身にも換えがたいと云うくらいの大切なものでした。
「どうも困ったものだ。」と、下屋敷の侍達はいよ/\眉をひそめました。
いくら下屋敷だからと云って、あまりに猥な不行儀なことが重なると、打っちゃって置くわけには行かない。殊に三島の屋敷は前にも申す通り、武道の吟味の強い家風ですから、そんなことが上屋敷の方へきこえると、こゝをあずかっている者どもの越度にもなるので、もう何とかしなければなるまいかと内々評定しているうちに、貸本屋の方ではいよ/\増長して、このごろは春色何とかいうもの以上に春色を写してあるらしい猥な書物をこっそりと持ち込んで来るのを発見したので、侍達ももう猶予していられなくなって、貸本屋は出入りを差止められてしまいました。