Classici giapponesi con furigana
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さんりょうきょう
三稜鏡
佐左木 俊郎
Leggi 三稜鏡 (さんりょうきょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.347 caratteri · 42 schermate
らしく……」
「そんなことは知らなかった。それは私の失策だった。恋情が介在していることを知っていれば、極く簡単に済んだのかも知れなかったが、残念なことをした」
岡埜精神病院長はそう云って、溜息を吐くようにしながら、両手の中に頭を抱えた。自動車は街角を彎曲して、一揺れ、大きく揺れた。岡埜博士はぐらりと前の方へよろめいた。
「そんなわけで、あの青年は、岡埜先生と彼女とを、笠松博士親娘と思い込んでいて、先生が令嬢を殺したものと、熱心に思い込んでいるのですよ」
署長は、青年の話を一通り語り終って、煙草に火をつけた。
「全く残念なことをした。恋情が介在していることには全然気がつかなかった。それが私の失策だった」
岡埜博士は残念そうに繰返した。
「あの青年は又、彼女を、何うして先生のお嬢さんだと思っていたのでしょう?」
「彼女は、私の顔を見さえすると(お父さん!)と云っていたのですよ。そして又あの青年は、私の顔を見さえすると(笠松先生!)と云って、直ぐ外科医術上の質問をするのですなあ。あの青年が、私の病院へ来たのは極く最近なのですが……」
=暗転=
彼が病房に落着いていると云う報告を受けると、私は部屋を間違えたような風を装って、彼の病房へぶらりと這入って行った。