Classici giapponesi con furigana
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しゃんはい
上海
横光 利一
Leggi 上海 (しゃんはい) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.628 caratteri · 292 schermate
僕は朝から何も食べていないんだが。」
「あら。」とお杉は低くいうと、そのまま何もいおうともしなければ動こうともしなかった。
「じゃ、無いんだな、あんたのとこも。」
「ええ、さきまであったんだけど、もうすっかりなくなってしまったの。」
参木は今は全く力の脱けるのを感じた。これから朝まで何も食べずにすごさねばならぬと思うと、もう早や頭の中では、今朝から見て来た空虚な空ばかりがぐるぐると舞い始めた。しかし、そのまま黙っていては、久し振りにお杉と逢った喜びも、彼女に伝えることさえ出来なくなるのだった。
「君とはほんとにしばらくだね。お杉さんのここにいるのは、実は今日初めて甲谷に聞いたんだが、僕んとことは近いじゃないか。どうしていままで報せなかったんだ。」
すると、返事に代ってお杉の啜り上げる声がすぐ手近の畳の上から聞えて来た。参木は彼女がお柳の所を首になったいつかの夜、自分の前でそのように泣いたお杉の声を思い出した。――あのときは、あれはたしかに自分が悪かった。もしあのとき自分があのまま、お柳のするままにしておいたら、お杉はお柳の嫉妬には逢わずに首にならなくともすんだのだ。