Classici giapponesi con furigana
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ふしんあん
不審庵
Leggi 不審庵 (ふしんあん) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7782 caratteri · 16 schermate
期せずして三人同時に、おのずから溜息が出た。
「そんなものは、見なくたっていい。」先生は不機嫌そうな口調でおっしゃった。けれども先生には、どのような深い魂胆があるのか、わかったものでない。油断がならぬ。
「この釜は、」と私はその由緒をお尋ねしようとしたが、なんと言っていいのか見当もつかない。「ずいぶん使い古したものでしょう。」まずい事を言った。
「つまらん事を言うなよ。」先生はいよいよ不機嫌である。
「でも、ずいぶん時代が、――」
「くだらんお世辞はやめ給え。それは駅前の金物屋から四、五年前に二円で買って来たものだ。そんなものを褒める奴があるか。」
どうも勝手が違う。けれども私は、あくまでも「茶道読本」で教えられた正しい作法を守ろうと思った。
釜の拝見の次には床の間の拝見である。私たちは六畳間の床の間の前に集って掛軸を眺めた。相変らずの佐藤一斎先生の書である。黄村先生には、この掛軸一本しか無いようである。私は掛軸の文句を低く音読した。
寒暑栄枯天地之呼吸也。苦楽寵辱人生之呼吸也。達者ニ在ッテハ何ゾ必ズシモ其遽カニ至ルヲ驚カン哉。
これは先日、先生から読み方を教えられたばかりなので、私には何の苦も無く読めるのである。