Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちゅうよう

中庸

坂口 安吾

Leggi 中庸 (ちゅうよう) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.104 caratteri · 33 schermate

Aozora Bunko

余がそこを訪ねると、真っ先に顔を合せたのは先日の男教員で、彼は甚だしく憎悪をこめて余を睨んだ。彼は禅寺の下宿人であった。

「小学校の教員は犬ですか。土間で事務をとり、土間に藁をしいて宿直することになったそうですね。あなたは刑務所を見ましたか。人間の住むところは、牢屋でもちゃんと床がありますぜ。変な顔をしてますね。私の云うことが変梃に聴えますか」

彼が犬属にあらざることを示威することには同感できるが、その見幕には同感ができない。それはたしかにほぼ犬的であった。戒厳令下の消防団員や村会議員と同じように、牙をむく犬にほかならぬと思った。

余は犬に返答することを欲しないので、マリ子を探した。マリ子は人を避けて、裏の山に登ったという。裏の山は墓地であった。

マリ子は墓石の一つに腰かけて、目玉をむいて、腕を組んでいた。近づく余をじっと見つめているから、余も苦笑した。

「今日はどこへ行っても睨まれるばかりさ」

「私のはたばこがきれてるせい」

にこりともしない顔が、睨む目をそらして呟いた。

「私は御承知の如く無為無能の村長だから、村長たる力によってあなたに何もしてあげることができない。