Classici giapponesi con furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.344 caratteri · 96 schermate
言わないと罪になるぞ」
資材があったことなんか知らない。資材どころか、自分の身体に火をつけることすらできなかった。
「死刑にしてください」
だしぬけに太郎が叫んだ。
「死刑にしてくれ、死刑にしてくれ」
ヨハネは、
「まア静かにしていろ」
といって、部屋から飛びだして行った。気がちがったのだと思ったのかもしれない。
死刑――こんなうまい考えが、どうしてもっと早くうかばなかったのだろう。なにかうんと悪いことをすれば、だまっていても政府がぼくの始末をつけてくれる……
若い警官が入ってきて、バンドを解いて拳銃のサックを畳の上に投げだすと、
「疲れた」
といって、どたりと上框にひっくりかえった。太郎は膝を抱いて貧乏ゆすりをしながら、眼の前にある拳銃をじっとながめていた。板土間の警官は、こちらに背中を見せて、せっせと書きものをしている……若い警官は、あおのけに寝て眼をつぶっている……
「いまなら、やれる」
太郎はバンドの端をつかんで、そろそろと拳銃のサックをひきよせた。サックの留めをはずした。拳銃をぬきとって、音のしないように安全装置をはずすと、立ちあがっていきなり撃鉄をひいた。