Classici giapponesi con furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.344 caratteri · 96 schermate
猪鹿蝶
いつお帰りになって? 昨夜? よかったわ、間にあって……ちょいと咲子さん、昨日、大阪から久能志貴子がやってきたの。しっかりしないと、たいへんよ……あなたを担いでみたって、しょうがないじゃありませんか。ええ、ほんとうの話……誰だっておどろくわ。どんなことがあったって、東京なんかへ出てこられる顔はないはずなのに。そこが志貴子の図々しさよ……終戦から六年、その前が四年だから、ちょうど十年ぶりね。木津さん? そのことなのよ。なにはともかく、大至急お耳にいれておくほうがいいと思って、それでそれはもう、あなたさまのおためになることでしたら、いかようにも相勤めまするでござるだけど、お蔭さまで、今日はくたくた。
朝の十時ごろ、築地の山城から、いきなり電話をかけてきたものなの。折入っておねがいしたいことがあるから、どこか静かなところで、一時間ほどお話できないだろうかって。すらっとしたものなの……志貴子の追悼会をやったあとで、久能徳が本門寺の書院で、いろいろとお助けいただいたご恩にたいしても、生涯、志貴子は東京へ出しません。おやじの私がお約束するって、畳に両手を突いておじぎをしたでしょう。