Classici giapponesi con furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.344 caratteri · 96 schermate
なまじっかな場所だと、かえって目につくから、ざわざわしたところのほうがいいと思ったの。
ええ、やってきたわ。二十分も遅れて。腹がたって、ひっぱたいてやろうかと思ったくらい……遅くなってとも言わないの。ずるずるに椅子に掛けて、「お別れしてから、久しうなりますのに、ちょっともお変りになってはれしめへんな」なんて、のんびりしたものなの。おぼえているでしょう。神戸にいるころは、朴なんとかいうボクサーくずれに入れあげて、耳のうしろの肉が落ちて、栄養失調の子供のようないやな感じだったけど、こんどは身幅がついて、人がちがったみたいに水々しくなって、頬の艶なんかバカバカしいくらいどう見てもせいぜい三十一、二ってところ。ええ、そう。面白くないのよ。「いつか摩耶へ遊びに行ったのが、最後だったわね。そのあとのほうが、派手で面白かったけど。いっこう音沙汰がないから、こんどこそ、ほんとうに死んだんじゃないかって、咲子さんと、噂したこともあったのよ」って露骨にあてつけてやると、「うち、なんべんも長い手紙書きましてんけど、そのたんびに恥かしうて、やめましてん。封じ目した手紙が、手箱に何本もでけてますわ」