Classici giapponesi con furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.344 caratteri · 96 schermate
ちょっと死にきれないでしょ。
それはそうと。なにかというと、張りあう気でいるひとなんだから、あたしのほうにも、もちろんツモリはあったのよ。薄いレモン地に臙脂の細い立縞をよろけさせたお召に、名物裂の両面つづれの帯……山浦の織元をやめてひっこむ前に、一反だけ織った織留めの秀逸でフランス代表部のモイーズさんが「無左右」の絶品だって折紙をつけたくらいのものでしょう。これだけひき離しておけば、絶対大丈夫と思ったのが、油断だったのね……そうなると、ジョーゼットまがいの、悪く新しがった薄っぺらなところ、浮きあがったようなレモンの色合のわざとらしさが、悲しいほど嫌味で、こちらは泣きだしたいくらいになっているのに、志貴子のやつ、わざわざ手で触ってみて、「まあま、これ中村だっか。地入れがようて、サラリとして、ジョーゼットそのままねんね。それにおみ帯の品のいいこというたら。両面錦みたい、博物館へ行っても見られんものを見せてもろて、ほんまに眼の保養をしました」なんて、ニヤニヤしているの。あたしの気持、お察しになれます?……パンセ・ヴゥ(お察しねがう)ってとこよ。
泣きだしもしなかったわ。