Classici giapponesi con furigana
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ここのつのかぎ
九つの鍵
野村 胡堂
Leggi 九つの鍵 (ここのつのかぎ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.349 caratteri · 42 schermate
山裏金司はよけいなことまで弁解しているのです。
それをうしろに聴いて、狩屋三郎と植野誠一は、ビルディングの地下室から恐ろしく念入りに調べて、頂上のペント・ハウスから、小砂利を敷いた屋上まで登りました。
そこにはゆうべ愛子を釣り上げた綱や鎖がそのままになっており、兄の三郎の心を傷めるものばかりです。
「まア、ここへかけようよ、そしてふたりでジックリ考えようじゃないか、君は愛ちゃんの肉親の兄で、心配が先に立つからいつものけっこうな智恵も出ないようだ。この事件はぼくが代って考えてみよう。そして急所急所で君の意見を訊いて修正して行ったら、大したまちがいもあるまい――ぼくだって愛ちゃんの従兄だから、君に負けずに心配はしているが、それでも、兄の君よりはいくらか冷静になれるだろうよ」
照国の誠一は屋上に並べた木の腰掛の一つに陣取って、三郎の心配そうなのを慰めるのでした。
春の大都のけしきは、ビルディングの屋上から見ると、まるで金粉をまいたよう、その美しさというものはありません。あちこちの桜のつぼみがふくらんで、屋根の波の上に陽炎が燃えて、身も心も酔ったようになりますが、三郎と誠一にとっては、けしきどころの沙汰ではありません。