Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふたつのみち

二つの途

豊島 与志雄

Leggi 二つの途 (ふたつのみち) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.102 caratteri · 104 schermate

Aozora Bunko

」

「でも、何だか悲しくなってしまうことがあるんですもの。木下さんが居て下さると力強いような気がして……。木下さんは妙に神経質な所もあるけれど、何処かどっしりしてる所があるようですわ。物につき当っても転ばないような所が……。」

啓介は眼をつぶっていた。彼女は言葉を途切らして、彼が眼を開くのを待ったが、やがて云った。

「眠っていらっしゃるの?」

啓介は眼を開いた。然し黙っていた。

「何を考えていらっしゃるの?」

啓介はちらと眉根を寄せたが、すぐにその眉根を挙げて云った。

「僕は、お前の肖像を木下君に描いて貰いたいと思ってるんだが……。」

「私の肖像を!」

「うむ。」

「いやよ、モデルなんかになるのは。」

「何もモデルになるというわけじゃない。ただ肖像を描いて貰うだけだから。」

「でも……。」

彼女は上目勝ちに鴨居のあたりを眺めながら、身体を少し左に曲げた。そのため少し膝がくずれて、自然に腿から腰へかけて柔かな幾筋もの曲線を作った。曲線の中に歪められた肉体が快く波動していた。わりに細そりとして見える胸部から、ちぎって投げ出されたような円っこい両腕が、手応えのある重みを以てだらりと炬燵の上に置かれていた。