Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふたつのみち

二つの途

豊島 与志雄

Leggi 二つの途 (ふたつのみち) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.102 caratteri · 104 schermate

Aozora Bunko

」

「岡部君が呼んでるのですか。」

「ええ。」

木下は立ち上った。信子は彼の手を握りしめた。

「行らっしゃるの?」

「ええ。」と木下はきっぱり答えた。「私は岡部君の前に出るのが恐ろしいような気がします。然しその恐ろしさは当然受けなければならないものです。いや、此処に一人でじっとしていても、私は恐ろしい。考えれば考えるほど、深い渦の中に巻き込まれてゆきそうだ。眼をつぶると真暗なものが襲いかかって来る。何にも考えないでじっと眼を見開いている外はない。……あなたは震えているんですね。もう仕方はありません。なりゆきに任せましょう。然し覚悟はきめて置かなければいけません。どんなものにぶっつかるか待ってみましょう。しっかりしていなければいけません。ぶっつかるものが何であるかは分らないが、ぶっつかる覚悟だけはしておきましょう。私はもう後悔はしない。力の限り堪え忍ぶことだ。……信子さん!」

彼は信子を胸に抱きしめた。

「あなたは、」と信子は云った、「岡部に仰言るつもりなの?」

「ええ、場合によっては。」

「でも……いいえ、今はいけません、今は……。」

「勿論今すぐではありません。