Classici giapponesi con furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Leggi 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 113.429 caratteri · 227 schermate
田村先生と肩をならべると、
「どうしたの」
まっさきに大石先生はきいた。
「あかだっていうの」
「あか? どうして?」
「どうしてか、しらん」
「だって、片岡先生があか? どうして?」
「しらんわよ。わたしにきいたって」
ちょうど教室の前へきていた。笑って別れはしたが、二人とも心にしこりは残っていた。まだなんにも知らないらしい生徒は、雪に勢いづいたのか、いつもより元気に見えた。ここに立つと、すべての雑念を捨てねばならないのだが、教壇にたって五年間、大石先生にとってこの時間ほど、永く感じたことはなかった。一時間たって職員室にもどると、みんな、ほっとした顔をしていた。
「警察、かえったよ」
笑いながらいったのは、若い独身の師範出の男先生である。彼はつづけて、
「正直にやると馬鹿みるっちゅうことだ」
「なんのこと、それ。もっと先生らしく……」
突っつかれて大石先生はいうのをやめた。突っついたのは田村先生だった。
教頭が出てきての説明では、片岡先生のは、ただ参考人というだけのことで、いま校長がもらいさげにいったから、すぐ帰ってくるだろうといった。問題の中心は片岡先生ではなく、近くの町の小学校の稲川という教師が、受けもちの生徒に反戦思想を吹きこんだという、それだった。