Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Leggi 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 113.429 caratteri · 227 schermate
それとも本人の手に渡ったかどうかもあやしい……。あの夜、うさんくさそうに出てきたおかみさんも、事情がわかるとさすがにあいそよく、
「まあま、それはそれは。ようきておくれましたな。さ、先生、どうぞおかけなさんせ」
中へ招じいれ、せまい畳の縁台に小さな座ぶとんを出してすすめたりした。しかし話をするのはおかみさんばかりで、松江はだまってつっ立っていた。いつのまにか男の生徒が五、六人やってきて、縄のれんの向こうに顔をならべているのを見ると、大石先生は立ちあがらずにいられなかったのだ。
「じゃあまたね。もうすぐ船がくるでしょうから」
いとまをつげたが、べつに見送りにもこなかった。許されなかったのであろう。わざとふりむきもせず、さっさと歩きだすと、ぞろぞろついてきた生徒たちは思い思いのことをいった。
「先生、だれかな、あの子?」
「先生、あのうどんやと一家(親類)かな?」
本校にはたった一日しか顔を出さなかった松江を、だれも松江と気づいていないのは、その中に岬の子どもがまじっていなかったからであろう。へたにさそい出したりしなかったことを、松江のためによろこびながら、今でも一種のもどかしさで思いだされる松江であった。