Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Leggi 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 113.429 caratteri · 227 schermate

Aozora Bunko

「先生、しばらくです」

東京の大学をあと一年という竹一は、細長くなった顔を、いかにも都会の風に吹かれてきたというようなようすで、まっさきにあいさつした。つづいて神戸の造船所ではたらいている正が、これはいかにも労働者らしく鍛えられた面魂ながら、人のよい笑顔で頭をさげ、きまりわるげに耳のうしろをかいた。まっていたように磯吉が前に出てきて、

「先生、ごぶさたいたしまして」

少し心配なほど青白い顔に、じょさいない笑いを浮かべた。どこへもゆかずに岬の村で山伐りや漁師をしている吉次は、あいかわらず借り猫のようなおとなしさで、みんなのうしろに控え、水ばなをすすりあげながらだまって頭をさげた。仁太ばかりはれいのとおりの無遠慮さで、あいさつぬきだった。彼は父親を手つだって石けん製造をしているという。経済的には一ばんゆとりがあるらしい仁太は、新調の国民服をきていた。

「先生、こないだ富士子に会うた、富士子に」

じまんらしく富士子をかさねていう。しかし先生はわざとそれに乗らず、とりかこまれた青年の姿をあおぐようにして眺めまわした。八年の歳月は、小さな少年を見あげるばかりのたくましさに育てている。