Classici giapponesi con furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Leggi 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 113.429 caratteri · 227 schermate
「こんな、かわいい やつどもを、どうして ころして よいものか わあっ わあっ」
調子をとってゆさぶると、三つの口は同じようにして、わあっ わああ と合わせた。そこにどんな気持がひそんでいるかを知るにはあまりに幼い子どもたちだった。
春の徴兵適齢者たちは、報告書と照らしあわされて、品評会の菜っ葉や大根のようにその場で兵種がきめられ、やがて年の瀬がせまるころ、カンコの声におくられて入営するのが古いころからの慣わしであった。しかし、日ごとに広がってゆく戦線の逼迫は、そのわずかな時間的ゆとりさえもなくなり、入営はすぐに戦線につながっていた。船着き場の桟橋に建てられたアーチは、歓送迎門の額をかかげたまま、緑の杉の葉は焦茶色に変わってしまった。歓送歓迎のどよめきは年中たえまなく、そのすきまを声なき「凱旋兵士」の四角な、白い姿もまた潮風とともにこのアーチをくぐってもどってきた。
日本じゅう、いたるところに建てられたこの緑の門を、数えきれぬほどたくさんの若者たちがくぐりつづけて、やむことを知らぬような昭和十六年、戦線が太平洋にひろがったことで、カンコの声はいっそうはげしくなるばかりだった。