Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Leggi 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 113.429 caratteri · 227 schermate

Aozora Bunko

「ソンキさん、こんにちは」

先生は磯吉の手をとって、いっしょに階段をあがろうとした。

「あ、先生、しばらくでした」

「七年ぶりよ」

「そうですな。こんなざまになりましてな」

磯吉は、ちょっと立ちどまってうつむいたが、ひかれるままに先生とならんで階段をあがった。曇っていた空は少しずつ晴れまを見せ、ま昼の太陽は海の上にぎらぎらしていた。二階はまぶしいほどのあかるさなのに、山に面した北窓のほうは今にも降ってきそうな、奇妙な空模様である。しかし、八畳を二つぶっとおした部屋に、さわやかな風はみちわたり、肌にこころよくしみとおるようだった。

「ああら、眺めのいいこと、ちょっとォ……」

てすりのそばからだれにともなくふりかえった小ツルは、きゅうに口をおさえてあとをいわなかった。磯吉を見たからだ。そのまの悪さをすぐに、ふっ消すように、マスノはれいのゆたかな声で、

「さ、先生はここ。ソンキさんとならんでください。こっちがわがマッちゃん。ふたりで先生をはさんで、堪能するだけしゃべりなさい。あとはめいめい勝手にすわって」

投げだすようにいってはいるが、それはじつに思いやりのあるマスノのはからいであることを、先生はひそかに感じた。