Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にじゅうしんぞう

二重心臓

夢野 久作

Leggi 二重心臓 (にじゅうしんぞう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 65.188 caratteri · 129 schermate

Aozora Bunko

兄妹は見る見る青ざめて行く顔を見合わせた。

「ふうん。どうして胸がドキドキしたんだい」

美鳥はいよいよ涙ぐんだようになって、うつむいた。紅茶を入れかけたままの白いエプロンの端を弄び弄び耳まで赤くなってしまった。口籠もり口籠もり云った。

「呉羽さんはアンマリ……アンマリ美し過ぎると思ったの……」

あくる日も引続いた上天気であった。

夜が明けると、思い切って早起して、いつもの通りに凝った和装の身支度を済ました女優呉羽嬢は、直ぐに轟家の顧問弁護士、桜間法学士を呼付けた。既に自分の名前になっている自宅の建築と地面を抵当に入れて堀端銀行から一万八千円の金を引出し、その中から三千円を分けて江馬兄妹を呼出し、桜間弁護士立会の上で手渡ししてキチンとした受取を入れさせた。それから弁護士を除いた三人で桐ヶ谷の火葬場にタクシーを乗付け、轟九蔵氏の遺骨を受取って来て故人の自室に安置し、附近の寺から僧侶を招いて読経してもらった。

焼香の時に一番先に仏前に立った呉羽は、長い事手を合わせて、何か口の中でブツブツと祈りながら肩を震わして泣いていたが、その態度がアンマリ真剣だったので江馬兄妹は勿論、女中のおヨネまでも眼を潤ませていた。