Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ぼうれいホテル
亡霊ホテル
山本 周五郎
Leggi 亡霊ホテル (ぼうれいホテル) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9706 caratteri · 20 schermate
その向う側の部屋から、――ゆうべひと晩中、女の呻くような悲しげな声や、長い紙を静かに引裂くような物音が、絶えては聞え絶えては聞えして来るので、妙に苛々と寝苦しい思をしながら一夜を明かしたのであった。
「――矢張りお聞きになりましたか」
給仕はやがて声をひそめて云った。
「矢張りって? 何かあるのかい」
「あの部屋には何誰も泊ってはいらっしゃいません。もうずっと以前からお客様をお入れしない事になっていますので、――と申しますのは、実は極く内々のお話なのですが、彼室は『亡霊の部屋』と云って、私共仲間でも怖がって近寄らないくらいです」
「ふふふふ今どき亡霊とは古風だな」
「お笑いになりますが、現に昨夜、貴方様がそれをお聞きになったではございませんか」
伊藤青年はふっと笑い止めた。――ゆうべ深夜に聞いた、悲しげな女の呻声を思出したのである。給仕は更に声をひそめて、
「そうなんです、――此処だけのお話ですが、二年まえの冬の或夜、あの部屋へ泊ったお客様……御老人の方とその若い美しい夫人でしたが、お泊りになった晩、御老人が若い夫人を短刀で刺殺したうえ、御自分も自殺なすったという事件がございました。