Classici giapponesi con furigana
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ひとでなしのこい
人でなしの恋
江戸川 乱歩
Leggi 人でなしの恋 (ひとでなしのこい) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.245 caratteri · 33 schermate
三
三
「変だな」と気がついたのは、御婚礼から丁度半年ほどたった時分でございました。今から思えば、あの時、門野の力が、私を可愛がろうとする努力が、いたましくも尽きはててしまったものに相違ありません。その隙に乗じて、もう一つの魅力が、グングンとあの人を、そちらの方へひっぱり出したのでございましょう。
男の愛というものが、どの様なものであるか、小娘の私が知ろう筈はありません。門野の様な愛し方こそ、すべての男の、いいえ、どの男にも勝った愛し方に相違ないと、長い間信じ切っていたのでございます。ところが、これほど信じ切っていた私でも、やがて、少しずつ少しずつ、門野の愛に何とやら偽りの分子を含むことを、感づき初めないではいられませんでした。……………………そのエクスタシイは形の上に過ぎなくて、心では、何か遙なものを追っている、妙に冷い空虚を感じたのでございます。私を眺める愛撫のまなざしの奥には、もう一つの冷い目が、遠くの方を凝視しているのでございます。愛の言葉を囁いてくれます、あの人の声音すら、何とやらうつろで、機械仕掛の声の様にも思われるのでございます。でも、まさか、その愛情が最初から総て偽りであったなどとは、当時の私には思いも及ばぬことでした。