Classici giapponesi con furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Leggi 人外魔境 (じんがいまきょう) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 101.713 caratteri · 205 schermate
彼女もだんだん、正気を失いはじめてきたのだ。
さすがにカークだけは、絶えず斧をふるって道をひらいてゆく。しかし、蛮煙瘴雨に馴れたこの自然児も、わずか十ヤードほどゆくのに二、三時間も死闘を続けるのでは、もうへとへとに疲れてしまった。一本の、馬蔓の根がとおい四、五町先にあって、切るとずうんずうんと密林がうめきだし、しばらくカサコソと何者かが追ってくるような無気味な音をたてている。カークも全精力がつき、ぐたりと樹にもたれた。
「どうする? なにか、こうしたらというような見込みでもあるかね」
「どうするって※(疑問符感嘆符、1-8-77) 一体どうなりゃいいんだ」ヤンが、ぎょろっと血ばしった目でふり向いた。
「われわれは、いっそバイエルタールに殺されちまやよかったんだ」
とおく、一つ、鉛筆のような陽の縞が落ちている。そのほかは、闇にちかいこの密林のなかは、沢地の蒸気をうずめる塵雲のような昆虫だ。それを、蚊帳ヴェールで避ければ布目にたかってくる。もう、悪魔の尿溜へはいくばくもないのだろう。
ところが、そういう筆舌につくせぬ難行のなかで、一人ドドだけは非常に元気だった。