Classici giapponesi con furigana
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しぐれがさ
人情武士道
山本 周五郎
Leggi 人情武士道 (しぐれがさ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.700 caratteri · 51 schermate
大名屋敷
一
……これが職人の気持なんだ、金にも名にも代えることが出来ない爪の尖ほどの嘘もない職人の気持なんだ」
「すみません、あたし、そこまで考えずに、つい貴方のお仕事を世間へ見せたくなって」
「杉辰の置いていった一両をおくんなさい」
宗七は構わず立上った、……そしてお雪から二分銀を二つ受け取ると、そのまま土間へ降りて見返りもせず、
「お雪さん、……これでお分りだろう、貴女はこんな処にいる人じゃあない、矢張り佐野屋の娘で安楽に暮す方がいいんだ。どうかこのまま家へ帰って下さい」
そう云いながら外へ出た。
もう日はすっかり暮れていた。夕飯どきのざわついた路地をぬけ出ると、河岸っぷちはひっそりと暗く、今にも降って来そうな空は大江戸の街の灯をうつして鈍く染っている。宗七はまだ朝から食物をとっていなかった。それでなくても弱っている身体は、足がふらふらするほど力抜けがしている。
……然し、そのよろめく足を踏みしめながら、宗七は懸命に大鋸町の道具屋、杉田屋辰五郎の店へ急いだ。
大名屋敷
一
「旦那はおいでですか、旦那は」
「おや宗七さん、どうなすったんです。なにか御用ですか」
「旦那がいたら呼んで下さい」