Classici giapponesi con furigana
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じんぞうにんげん
人造人間
平林 初之輔
Leggi 人造人間 (じんぞうにんげん) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.736 caratteri · 24 schermate
「先生はいつかこんなことを仰言った……今度の実験は私の生命と名誉とをかけての実験ですから、万一しくじったら私は何もかも破滅なんだから……」
彼女は血走った眼で隣室へ通ずる扉をちらりと見た。血を見た猛獣のように彼女は起ちあがった。デスクの曳出しをあけて彼女は狂気のように何物かをさがしだした。彼女の手には鍵たばが握られていた。あまりはげしい昂奮に理性を失った彼女は、博士の大事な実験を滅茶滅茶にして博士を世間へ顔向けのできぬようにし、どこか地球の果てというようなところへ行って自分と二人で恋愛三昧の生活を送ろうと考えたのである。――世界をも恋故に――クレオパトラの言葉が彼女には絶対者の暗示のように思い出された。
意外にも一番はじめに試みた鍵がうまく鍵穴にはいった。扉は拍子抜けのする程易々とあいた。実際、扉を叩き破っても位の権幕であった彼女には少なからず意外であった。だがそれよりも意外であったのは、部屋の中には見なれたデスクが一台と椅子が一脚、デスクの上には何かしら独逸語の書物があけてあって、その前に大判の洋罫紙に何か独逸語で書きかけたのがあるきりで、その外には何一つ見つからなかったことである。