Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あだうちさんたい

仇討三態

菊池 寛

Leggi 仇討三態 (あだうちさんたい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.136 caratteri · 33 schermate

Aozora Bunko

さっきから、燗番をしながら、樽から徳利の方へ移すときに、茶碗で幾杯も幾杯も盗み飲みをしたので、すでにとろりとした目付をしていたが、目の前にあった杯洗の水をこぼすと、元気よくこれを前に突き出した。

「親方、俺はそんなもんじゃまだるっこい! これで、ぐいとやりてえ!」

「いよう豪勢だ!」

彼は、一座の賞賛を受けながら、杯洗で三杯まで重ねた。さすがに最後の一杯は飲み渋った。酔いが、健康らしい褐色の老顔にもありありと現れた。

「嘉平次さん! お前さんの包丁は、また格別だな、いつもお上のお残り頂戴で、本当に味わったのは今日が初めてだが、お前さんが自慢するだけあらあ!」

草履取の中間が真正面から賞め立てた。

「えへへへへへへ」お調子者の嘉平次は、上機嫌になりながら、そのだらしない口元から、落ちそうになる涎を、左の手で幾度も拭った。

「きけば、お前さんは、上方で鍛え上げた腕だそうだが、料理はなんといっても上方だなあ!」

中間頭の左平までが、子細らしく感心してみせた。

「えへへへへへ、えへへへへへ」嘉平次は、おだて上げられて、いやしい嬉しそうな笑いが、止めどなく唇から洩れた。