Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

Leggi 仇討姉妹笠 (かたきうちきょうだいがさ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 80.178 caratteri · 159 schermate

Aozora Bunko

お葉は夢中のように歩き出した。

田安家の横手の土塀の前へ、女猿廻しのお葉が現われたのは、それから間もなくのことであった。

土塀の上を蔽うようにして、植込の松や楓や桜が、林のように枝葉を繁らせ、その上に月がかかっていて、その光が枝葉の間を通して、お葉の体へ光の飛白や、光の縞を織っている。そのお葉は背中に藤八と名付ける、可愛らしい小猿の眠ったのを背負い、顔を上向けて土塀の上を、思案しいしい眺めていた。

「飛加藤の亜流」という老人と別れて、一人此処へ来たお葉なのであった。でも何のために此処へ来て、何をしようとするのであろう。

意外な邂合

「藤八よ」とお葉は云って、背中の小猿を揺り起こした。

「さあこれを持って木へ登って、木の枝へしっかり巻きつけておくれ」

腰に挟んでいた一丈八尺の紐を、お葉は取って小猿へ渡した。と直ぐに小猿が土塀を駆け上り、植込の松の木へ飛び付いた姿が、黒く軽快に月光に見えた。でも直ぐに小猿は飛び返って来た。紐が松の枝から土塀を越して、お葉の手にまで延びている。間もなくその紐を手頼りにし、藤八猿を肩にしたまま、塀を乗り越えるお葉の姿が、これも軽快に月光に見えた。