Classici giapponesi con furigana
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いまどしんじゅう
今戸心中
広津 柳浪
Leggi 今戸心中 (いまどしんじゅう) di 広津 柳浪 (ひろつりゅうろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.688 caratteri · 74 schermate
顔に袖を当てて泣く吉里を見ている善吉は夢現の界もわからなくなり、茫然として涙はかえッて出なくなッた。
「善さん、勘忍して下さいよ。実に済みませんでした」と、吉里はようやく顔を上げて、涙の目に善吉を見つめた。
善吉は吉里からこの語を聞こうとは思いがけぬので、返辞もし得ないで、ただ見つめているのみである。
「それでね、善さん、お前さんどうなさるんですよ」と、吉里は気遣わしげに問ねた。
「どうッて。私しゃどうともまだ決心ていないんです。横浜の親類へ行ッて世話になッて、どんなに身を落しても、も一度美濃善の暖簾を揚げたいと思ッてるんだが、親類と言ッたッて、世話してくれるものか、くれないものか、それもわからないのだから、横浜へ進んで行く気もしないんで……」と、善吉はしばらく考え、「どうなるんだか、自分ながらわからないんだから……」と、青い顔をして、ぶるッと戦慄て、吉里に酒を注いでもらい、続けて三杯まで飲んだ。
吉里はじッと考えている。
「吉里さん、頼みがあるんですが」と、善吉は懐裡の紙入れを火鉢の縁に置き、「お前さんに笑われるかも知れないが、私しゃね、何だか去るのが否になッたから、今日は夕刻まで遊ばせておいて下さいな。