Classici giapponesi con furigana
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はくしゃくのかんざし
伯爵の釵
泉 鏡花
Leggi 伯爵の釵 (はくしゃくのかんざし) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.403 caratteri · 39 schermate
忘れもしない、限界のその突当りが、昨夜まで、我あればこそ、電燭のさながら水晶宮のごとく輝いた劇場であった。
ああ、一翳の雲もないのに、緑紫紅の旗の影が、ぱっと空を蔽うまで、花やかに目に飜った、と見ると颯と近づいて、眉に近い樹々の枝に色鳥の種々の影に映った。
蓋し劇場に向って、高く翳した手の指環の、玉の矜の幻影である。
紫玉は、瞳を返して、華奢な指を、俯向いて視つつ莞爾した。
そして、すらすらと石橋を前方へ渡った。それから、森を通る、姿は翠に青ずむまで、静に落着いて見えたけれど、二ツ三ツ重った不意の出来事に、心の騒いだのは争われない。……涼傘を置忘れたもの。……
森を高く抜けると、三国見霽しの一面の広場になる。赫と射る日に、手廂してこう視むれば、松、桜、梅いろいろ樹の状、枝の振の、各自名ある神仙の形を映すのみ。幸いに可忌い坊主の影は、公園の一木一草をも妨げず。また……人の往来うさえほとんどない。
一処、大池があって、朱塗の船の、漣に、浮いた汀に、盛装した妙齢の派手な女が、番の鴛鴦の宿るように目に留った。
真白な顔が、揃ってこっちを向いたと思うと。