Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ロンドンしょうそく

倫敦消息

夏目 漱石

Leggi 倫敦消息 (ロンドンしょうそく) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.199 caratteri · 39 schermate

Aozora Bunko

たい慾があるからさ。そこで家を持って下婢共を召し使った事は忘れて、ただ十年前大学の寄宿舎で雪駄のカカトのような「ビステキ」を食った昔しを考えてはそれよりも少しは結構? まず結構だと思っているのさ。人は「カムバーウェル」のような貧乏町にくすぼってると云って笑うかも知れないがそんな事に頓着する必要はない。かような陋巷におったって引張りと近づきになった事もなし夜鷹と話をした事もない。心の底までは受合わないがまず挙動だけは君子のやるべき事をやっているんだ。実に立派なものだと自ら慰めている。

しかしながら冬の夜のヒューヒュー風が吹く時にストーヴから煙りが逆戻りをして室の中が真黒に一面に燻るときや、窓と戸の障子の隙間から寒い風が遠慮なく這込んで股から腰のあたりがたまらなく冷たい時や、板張の椅子が堅くって疝気持の尻のように痛くなるときや、自分の着ている着物がぜんぜん変色して来るにつれて自分がだんだん下落するような情ない心持のする時は、何のためにこんな切りつめた生活をするんだろうと思う事もある。エー構わない。本も何も買えなくても善いから為替はみんな下宿料にぶち込んで人間らしい暮しをしようという気になる。