Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いだいなるゆめ

偉大なる夢

江戸川 乱歩

Leggi 偉大なる夢 (いだいなるゆめ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 117.988 caratteri · 234 schermate

Aozora Bunko

イヤ、戻らなかった。僕は失われて行く意識の隅で、非常に不思議な感じがしていたのです。

奴はそこを突破することは出来なかった。又戻りもしなかった。つまり奴はそこで消えてしまったのです。おかしい。人間が気体となって蒸発した筈はない」

新一は独言のように語尾を弱めて、しきりに考えはじめた。難解な謎を解こうとする人のように、目を空ろにして、心の中を見つめるように、呻吟していたが、暫くすると、彼の両眼が火花のように輝いた。

「アッ、そうかも知れんぞ。京子さん、急いで技師長さんを呼んでくれませんか。僕は妙なことを思いついたのです。それを確めて見たいのです」

京子は不安らしく新一の顔を眺め、その目を望月少佐に移して、少佐の意嚮を確めようとした。新一の突飛な言動を、発熱による譫言ではないかと疑ったのである。少佐は幽かに肯いて、新一の言うままにする方がよいという意味を示したので、京子は直ちに病室を出て行った。

「感心な娘さんですね」

望月少佐が京子の後姿を見送って、意味ありげな微笑を浮べた。

「そうです。感心というだけでは足りません」

新一はこういう機会を待ち兼ねていたかのように、一種異様の情熱をこめて云うのであった。