Classici giapponesi con furigana
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けんこうさんだい
健康三題
岡本 かの子
Leggi 健康三題 (けんこうさんだい) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3542 caratteri · 7 schermate
浴槽は汲み換えられて新しい湯の中は爪の先まで蒼み透った。暁の微光が窓硝子を通してシャンデリヤの光とたがい違いの紋様を湯の波に燦めかせる。ラジオが湯気に籠りながら、山の初日の出見物の光景をアナウンスする。
湯の中の五六人の人影の後からその娘の瞳がこっちを見詰めている。今はよしと私はほほ笑んでやる。するとその娘はなよなよと湯を掻き分けて来て、悪びれもせず言う。
「お姉さま、お無心よ」
「なあに」
「お姉さまの、お胸の肉附のいいところを、あたくしに平手でぺちゃぺちゃと叩かして下さらない? どんなにいい気持ちでしょう」
私はこれを奇矯な所望とも突然とも思わなかった。消えそうな少女は私の旺盛な生命の気に触れたがっているのだ。私は憐み深く胸を出してやる。
春の浜別荘
暮から年頭へかけて、熱海の温泉に滞在中、やや馴染になった同じ滞在客の中年の夫婦から……もしここを引揚げるようだったら、五日でも十日でも自分のところの別荘へ寄ってそこにいる娘と一緒に暮しては呉れまいかと、たっての頼みを私は受けた。
私は自分では何とも思わないのに、異ったところのある女と見え、よくこんな不思議な頼みを人から受ける。