Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちゅうとう

偸盗

芥川 竜之介

Leggi 偸盗 (ちゅうとう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.934 caratteri · 97 schermate

Aozora Bunko

骨を切る音が鈍く響いて、横に薙いだ太刀の光が、うすやみをやぶってきらりとする。――と、その太刀が宙におどって、もう一人の侍の太刀を、ちょうと下から払ったと見る間に、相手は肘をしたたか切られて、やにわに元来たほうへ、敗走した。それを次郎が追いすがりざまに、切ろうとしたのと、狩犬の一頭が鞠のように身をはずませて、彼の手もとへかぶりついたのとが、ほとんど、同時の働きである。彼は、一足あとへとびのきながら、ふりむかった血刀の下に、全身の筋肉が一時にゆるむような気落ちを感じて、月に黒く逃げてゆく相手の後ろ姿を見送った。そうしてそれと共に、悪夢からさめた人のような心もちで、今自分のいる所が、ほかならない立本寺の門前だという事に気がついた。――

これから半刻ばかり以前の事である。藤判官の屋敷を、表から襲った偸盗の一群は、中門の右左、車宿りの内外から、思いもかけず射出した矢に、まず肝を破られた。まっさきに進んだ真木島の十郎が、太腿を箆深く射られて、すべるようにどうと倒れる。それを始めとして、またたく間に二三人、あるいは顔を破り、あるいは臂を傷つけて、あわただしく後ろを見せた。