Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あにのこえ

兄の声

小川 未明

Leggi 兄の声 (あにのこえ) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 4426 caratteri · 9 schermate

Aozora Bunko

兄は、会社で、上のものが権力によって、下のものをおさえつけようとするのを見て、なにより不愉快に思ったらしいのでした。

「課長は、いつも、こわばった顔をしているが、家へかえって、細君や、子どもたちにも、あんな目つきで、ものをいうのだろうか。」と、さもまじめに、考えていたこともあります。

また同僚が、むやみと上役に対して、機嫌をうかがうのを軽蔑しながら、

「公用と私用を一つにするばかもないものだ。自分からこのんで、奴隷になろうとしている。」と、歎息していたこともありました。

よく重役が、買い出しや、家事の雑役などに、社員を使用することがありますが、兄は、けっしていかなかったばかりでなく、そんなひまがあるときは、映画を見たり、レコードをきいたりしたものでした。

あるとき、ぼくが、

「にいさんは、いつも音楽をきいたあとで、どんな空想をなさいますか。」と、きいたことがある。ふだんから、美と平和を愛する兄であるのを知っていたけれど、こうした場合に、希望や、空想が、どんな形であらわされるだろうかと思ったからです。

兄は、遠くを見るような目つきをして、

「そうだな、いい音楽をきいたときだね。