Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いれふだ

入れ札

菊池 寛

Leggi 入れ札 (いれふだ) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8917 caratteri · 19 schermate

Aozora Bunko

後に、九郎助と弥助だけがのこる。九郎助の顔は、凄いほど、蒼い。黙然として考えている)

弥助 おい兄い! お前は、どの方角へ行くんだ。

九郎助 うるせえや、今考えているというに。

弥助 おらあ、よっぽど草津から越後へ出ようと思ったが、よく考えてみると、熊谷在に伯父がいるのだ。少しは、熊谷はあぶねえかと思うが、故郷へ帰る足溜りにはもってこいだ。それで俺武州の方へ出るつもりだが、お前はどうする気だ。

九郎助 (黙して答えず)……。

弥助 お前、よっぽど入れ札が気に入らなかったのだな。もっともだ、俺も今日の入れ札は、最初からいやだった。親分も親分だ! 餓鬼の時から、一緒に育ったお前を捨てて行くという法はねえや、浅や嘉助は、いくら腕っぷしが強くってもお前に比べれば、ほんの小僧っ子だ。また、たとい入れ札をするにしたところで、野郎たちがお前を入れねえという法はありゃしねえ。十一人の中でお前の名を書いたのは、この弥助一人だと思うと、おらああいつらの心根が全く分からねえや。

九郎助 (憤然として)この野郎、手前ほんとうに書いたのか。

弥助 書いたとも、俺よりほかにお前の名を書くやつなんかありゃしねえじゃねえか。