Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate
膝に突いていた黒塗りの扇をパチリパチリとやりながら、北山はグングン突っ込んで訊く。
「いいえ、そんな事はございません。正直な人間でございます。人に恨まれる覚えもなく、人に憎まれる覚えもない正直な人間でございます」
「どうも私には受け取れない。どうでもあなたの心の中には不安なものがあるらしい。ひどく神経を痛めておる……で、私は改めて訊くが、貴公どこの産まれだな?」
「はい、江戸でございます」
「江戸はどこだな? どの辺だな?」北山は遠慮なく押し詰める。
「はい」と紋兵衛は狼狽しながら、「江戸は芝でございます」
「おおさようか、芝はどこだ?」
「はい、芝は錦糸堀で……」
「何を痴けめ!」と北山はカラカラとばかり哄笑した。
「芝にはそんな所はない、錦糸堀は本所だわえ!」
「おお、そうそうその本所で、私は産まれたのでございます」
「うん、そうか、では聞くが、錦糸堀は本所のどの辺にあるな?」
「はい、本所のとっつきに」
「アッハハハハ、まるで反対だ。錦糸堀は本所の外れにある……貴公江戸は不案内であろう? ……云いたくなければ云わないでもよい。産まれ故郷の云えないような、そういう胡散な人物には今後薬は盛らぬまでだ……ところでもう一つ訊きたいのは、十万に余る貴公の財産、いったい何をして儲けたのか?」